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お客様の声

<インタビュー>地域医療の連携強化を目指し、新人事制度の運用をスタート

有限会社由良薬局


有限会社由良薬局(兵庫県豊岡市)では、2022年4月より、新人事制度の運用をスタートしました。

「横の繋がりや助け合いを大切にする」そんな薬局のコミュニティを由良薬局から広げていきたい

連携強化が求められる医療・介護・福祉業界で、この想いを実現するためには、従業員が働くうえで土台となるルールが必要でした。そこで、新人事制度構築に踏み切った由良薬局。そこにかけた想いや今後の展望について、取締役の由良 温宣 様にお話を伺いました。

従業員が働くうえで土台となるルールを全店舗一律に

―新人事制度の構築・運用に至ったきっかけ・背景について教えてください

由良薬局全体の経営を踏まえ、従業員の働き方に関する部分をきちんと整理したいと考え始めたことが、今回、新人事制度の構築に至ったきっかけです。私は過去に、病院薬剤師として勤務していた経験があります。そこでは、有給休暇取得や時間外勤務について、きちんとした決まりがあり、昇給一覧表も規定されていました。そんな環境下で十数年勤務した後、由良薬局に勤めはじめ、良くも悪くもルールが曖昧であることに違和感を覚えました。

そこで、病院時代ほどきちんとしたルールではないにしても、由良薬局の経営、さらに由良薬局で勤務する従業員が働くうえで土台となるルールとして、全店舗に一律で適用する人事制度を構築・運用したいと考えました。各店舗の運営時間が異なるので、出退勤時間に差が生じることはありますが、そもそも、全店舗一律の、従業員の働き方に関するルールが規定されていないというのは、中途であれ新卒であれ、採用活動を進めている薬局として相応しくないと考え、今回、新人事制度の構築・運用をスタートしました。

―新人事制度の構築を外部に委託した理由は何ですか?

新人事制度の構築を検討してから1~2年間は、自分で構築しようとしました。一方で、急に現場に出ることになる場面や諸業務と並行しながら構築準備を進めるとなると、ゆっくり時間を取って考えることが難しく、外部に委託することを検討し始めました。その時、CBコンサルティングから人事制度構築サービスの案内を受けて、依頼することにしました。

従業員にとって安心感、そして信頼に繋がる人事制度

―新人事制度を運用して良かったことを教えてください

由良薬局の各店舗を格差なく、対等に見ているということを従業員に示すことができたこと、そして、それが従業員にとって安心感や、私たち経営陣への信頼に繋がったことは良かったと感じています。これまで、全従業員に同じ能力を求めていた部分があったなかで、職種や経歴・経験によって求めていることは異なるということに気づきました。今回、制度を導入することで、その分の評価について、視覚的に従業員に伝えることができました。人事制度を構築していることや、新人事制度として運用していきたいと考えていたことについては、構築を進めている段階から、並行して従業員にも伝えていました。実際に完成したものを職員に紹介したところ、複数の従業員から「ここまできちんと整理された人事制度があると安心して働ける」や、「想像していた以上に細かく、きちんとした人事制度ができて嬉しい」「由良薬局が従業員に求めていることが明文化されていて、それが評価に反映されているので、目標を持って働ける」といった声があがりました。従業員にとって、安心感や経営陣への信頼に繋がったことは、私たちにとって、非常に嬉しいことでした。

前進する姿勢と地盤固めを大切に。一方で、方針の違いや既存ルールの変更には苦労も

―新人事制度を構築・運用するうえで難しかったこと・苦戦したことを教えてください

一点目は、私たち経営陣のなかで、どのような人事制度を構築・運用していきたいかという方針が食い違っていたことです。代表と私の共通認識として、由良薬局を経営するうえで、前進する姿勢と地盤固めを大切にしたいという想いがありました。しかし、代表は前進する姿勢、私は地盤固めを大切にしたい想いが強かったので、今後の薬局経営をどうするか、そしてそれを想定した人事制度の構築をCBコンサルティングに依頼するかという点で、方針に食い違いが生じました。結局、将来を見据えて、前進する姿勢を軸に新人事制度を構築し、運用をスタートしました。

二点目は、今勤務している従業員の働きにくさに繋がらない内容にすること、さらには、中途であれ新卒であれ、これから由良薬局で働く皆さんと、これまで勤務してきた従業員との間で、大きな差が生じないような内容にすることです。特に、今勤務している従業員の働きにくさに繋がらない内容にすることについては、これまでの環境に変化を加えるにあたって、従業員にとっては、抵抗感や納得がいかない部分もあったかもしれません。そのため、従業員説明会では、気も遣いましたし、大変さも感じました。実際に「日々、業務に真摯に向き合って頑張っている分、評価云々ではなく、まずは給与をあげてほしい」といった声もあがりました。もちろん、頑張ってくれていることも、それが昇給に相応しいことも理解はできました。一方で、日々、目まぐるしく変化する薬局業界を取り巻く経営環境を踏まえ、薬局に求められる姿勢も変化するなか、由良薬局として、従業員に求める姿勢をきちんと明文化したうえで、それに見合った言動に対し、評価を行うことを大切にしたいと考えていました。そのため、従業員説明会では、私たちの想いをきちんと説明したうえで、納得いくまでお話しさせていただきました。

新人事制度の運用をもとに地域医療の連携強化へ

―さいごに、新人事制度を活かした今後の目標・ビジョンを教えてください

この地域において「横の繋がりや助け合いを大切にする」そんな薬局のコミュニティを由良薬局から広げていきたいです。薬局は、地域において、健康に関する相談ができる第一の窓口の役割を担っています。処方箋がなくても、健康に関して相談したいことがあれば、誰でもいつでも立ち寄っていい場所です。そのため、他企業のどこかの店舗で急に薬剤師が不足してしまっている時に「由良薬局から派遣しますよ!」と連携することも大切だと考えています。その際、給与体系をはじめ、従業員の働き方に関する部分がきちんと整理できていないと、派遣したくてもやり取りがしにくい。今回の新人事制度の構築・運用は、もちろん、由良薬局のためではあるものの、ひいては、このような地域で連携する際に土台となる制度になったと思います。

特に、この兵庫県豊岡市は高齢化率が高く、医療需要は年々減っているなかで、福祉への需要は高まっています。そのギャップをどのように埋めていくかが課題としてあるなか、医療と福祉の連携について、近隣の医療従事者の皆さんと意見交換をしています。薬局だけではなく、このような医療・福祉全体の連携強化にも力を入れていきたいです。