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スタッフコラム

調剤薬局の承継開業に関わる初期費用には何がある?




これから独立開業をされる予定の開業希望者さまにとって、開業にあたって必要になる初期費用にはどういったものがあり、どの程度の金額になるかは、大きなポイントでしょう。実際に、ご質問として受けることも非常に多いため、今回は開業費用についてご案内いたします。

現在の運営者に支払う費用

これから独立開業をされる予定の開業希望者さまにとって、開業にあたって必要になる初期費用にはどういったものがあり、どの程度の金額になるかは、大きなポイントでしょう。実際に、ご質問として受けることも非常に多いため、今回は開業費用についてご案内いたします。

■営業権

まず最初に承継開業において必ず発生する費用が、該当事業(今回の場合は調剤薬局)に対する営業権です。いわゆる「のれん代」で、その薬局自体の事業価値を価格にしたものになります。最終的な金額は最終譲渡契約書に記載されるため、必ず確認するようにしてください。
相場の金額感というものはありますが、最終的には譲渡・譲受双方で合意した金額となります。

■医薬品在庫

薬品在庫の譲渡に関する費用です。
多くの調剤薬局では、毎月在庫がゼロになることはなく、譲渡するタイミングでも仕入れた医薬品が在庫として残っています。この在庫となっている医薬品は、承継した後の運営でももちろんそのまま使えることがほとんどであるため、こちらの引継ぎの費用が発生することがあります。

実務では、個別の金額を算定して譲渡するパターンが多く、承継前月末に、売手様・買手様同席にて棚卸を行い数量を決定し、薬価の〇%や、納入価格など、双方合意のもの決定した金額を掛け、受け渡しをします。

■固定資産

土地、建物や、レセコンなどの機械類、調剤台などの店舗附属備品のことで、一般的には、不動産以外は、承継時点での簿価で買取りをすることになります。不動産に関しては、売り手の方が所有権を有したまま、薬局を譲渡するのか、そもそも賃貸借契約の上で薬局を運営していたのかによっても判断が異なってきます。

元々運営していた方が、引退する場合や退職する場合には、譲渡対価とは別に退職金を支払う必要がある場合があります。承継開業の場合、会社ごと引き継ぐ形は少ないため、実務面では少ないと考えてよいでしょう。

ただし、買い手が運営してた法人を承継して、元代表者が抜ける場合には、引き継いだ会社の通帳から退職金を支払う必要がある場合がありますので、規定がどうなっているのかなどを確認しておくと良いでしょう。


その他確認する必要のある費用

■案件仲介手数料

M&A仲介会社や税理士など、譲渡・譲受の当事者以外を踏まえて承継手続きを行った場合、仲介手数料が発生することが多いです。成果報酬型や中間手数料が必要な場合など、間に入る専門家によって料金体系が全く異なりますので、費用の発生タイミングや金額の計算など、承継の具体的な案件の話をする前に確認しておくと良いでしょう。

■不動産物件の初期費用

現在調剤薬局が賃貸物件であって、そのまま運営が継続する場合でも契約の主体が変更になるため、大抵の場合で不動産物件の賃貸借契約にかかわる初期費用が発生します。一般的な住居用物件と異なり、家賃10ヵ月分など高額になることも少なくありませんので、発生の有無と金額は必ず譲渡契約を締結する前に確認しましょう。

■運転資金

医薬品在庫・物件・営業の権利が揃っても、毎月の給与の支払いや物件賃料の支払いが発生するなど、事業の経営には手持ちの資金が必要になります。これらを運転資金と呼びますが、承継開業を希望する方にとって、運転資金は落とし穴になりやすい項目と言えます。

事業承継の場合、承継後2か月間は保険請求分が入ってこないため、
店舗にかかる人件費や、光熱費等の販売管理費、自身の当面の生活費など、確保しておく必要があります。

その他にも、法人を設立する場合はその費用、保健所や厚生局に申請をする際の申請費用、薬局名を変える場合や看板の付け替え費用等々、細かな費用も掛かってまいります。


営業権の金額の選定の方法とは?

上記の章でご紹介したものの中で、最もご質問をいただくのが営業権の金額の決め方についてです。

営業権のご説明の部分でも少し触れましたが、最終的な金額の設定は売手様買手様両社の合意した金額になりますので、明確な定価があるわけではございません。

しかし、実際の現場では「営業利益の〇年分(〇倍)」といった決め方で決まることが多く、一つの目安となるでしょう。

ここでお伝えしている「営業利益」とは、現在の運営状態で決算書上に記載されているものではなく、運営者が変われば必要がなくなるような経費は利益に足し戻す、従業員の退職が予定されている場合などは人件費を適正な水準に引き直して計算するなど、引き継いだ後に適正水準で運営することによって想定される営業利益(=EBITDA)をもとに計算がされます。

では、「〇年分(〇倍)」という部分はどうやって求められるのか?というと、個人開業希望薬剤師様向けの規模である売上5,000万~1億円程度の案件の場合の営業権は、営業利益(=EBITDA)の2~3倍で算出するケースが多いです。

ただし、門前の医師のご年齢や、後継者の有無、首都圏など人気エリアか否か、薬局自体の収益性の大きさ(小ささ)などにより、等倍は大きく変わってきます。
繰り返しになりますが、最終的には両者で合意した金額となります。



結局いくらお金があればいいの?

ここまで薬局の承継開業を行う場合に、必要となってくる費用についてご説明させていただきましたが、「結局いくらくらい必要なのか?」ここが大きな問題かと思います。

答えは「ケースバイケース」となります。

現在の経営状態で良好な運営状態であれば、営業権が高額になることが予想されます。

では、低収益の薬局であれば、金額が低いのかというと明確にそういうことでもありません。低収益の薬局でも薬品在庫が多ければ、初期費用が大きくなりますし、少し赤字が見込まれるような薬局であれば、赤字を補填できるだけの運転資金の用意が必要になります。

そのため、初期投資額については、一概に定義できないものではありますが、今まで、弊社でお手伝いしてきた幅の中では、総投資:2,500万円~4,000万円程度の案件が、比較的多かったかな・・・という印象です。

勿論、中には、総投資:2,000万円以下で開業された方もいらっしゃいましたし、総投資:5,000万円以上で薬局を承継された方もいらっしゃいました。

また、ほとんどの方は、上記金額を自己資金のみで賄われるのではなく、自己資金+融資、という形で、捻出をされています。

より詳しい金額のお話や、具体的な融資取り付けの方法などは、
個別にご相談もお受けしておりますし、セミナー等の対応もさせていただいています。

気になる方は、お気軽にご相談をいただけますと嬉しく存じます。