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スタッフコラム

HPKIカードの課題や今後の対応スケジュールについて


2023年1月26日より、全国で薬局の電子処方箋の運用がスタートしました。
この電子処方箋に署名をするうえで必要となるのが、今回のテーマであるHPKI(Healthcare Public Key Infrastructure)カードです。
本稿では、2025年3月末までに全国的に普及を予定しているHPKIカードの導入背景や普及目的から深堀し、今後の対応スケジュールについてご紹介します。

HPKIカードとは

HPKIカードとは、保健医療福祉分野の国家資格と管理者資格を証明するための電子認証機能を持つカードのことです。薬剤師においては、日本薬剤師会認証局がHPKIカードを発行しており、すべての薬剤師が取得申請ができます。
なお、電子処方箋に署名する方式として、ローカル署名/カードレス署名がありますが、どちらの署名方式においてもHPKIカードを使用します。
ローカル署名では、HPKIカードに内蔵されたICチップにて「電子証明書」を読み込み、電子署名を行います。
カードレス署名では、クラウド上にある「セカンド電子証明書(HPKIカードの発行対象者に発行する2番目の電子証明書)」を、生体認証付きのスマートフォンを用いて読み込み、電子署名を行います。

HPKIカードの機能とは

HPKIカードの機能としては、

  1. 電子署名
  2. 通行証の役割としての認証機能
  3. 薬剤師資格の証明

の3点になります。
カードに付着しているICチップには、「電子証明書」が付与されており、それをカードリーダーで読み取ることで上記3点を可能としています。
HPKIカードの活用場面としては、地域医療情報連携基盤へのログインや、その中で利用する医療情報の電子署名、電子処方箋への調剤済印の押印が想定されます。
なお、カードを配布すると紛失・破損をした場合に電子署名ができないことで業務が滞ってしまう可能性があるため、HPKIセカンド電子証明書の提供も開始しています。
これは、カードと生体認証機能付きの携帯機器と紐づけることで、クラウド署名サービスの構築を行い、カードレスでも電子署名をすることができます。

HPKIカード導入の背景とは

HPKIカードは、電子処方箋の運用をするために、導入が進められています。
当初は電子証明書のみの機能を想定していましたが、医師が電子証明書と資格証を一体化した資格証を利用した流れから薬剤師も資格証一体型となりました。
2023年4月よりオンライン資格確認が原則義務化されることで、電子処方箋の導入は加速化すると考えられます。
よって、今後普及の加速が予想される電子処方箋に対応するためにも、電子署名に必要なHPKIカードの取得が重要なポイントなのです。

HPKIカードの現状の課題と今後の対策

HPKIカードの現状の課題は以下の3点が挙げられています。

  • システムベンダーの対応が追い付いていないため、システム改修が進んでいない
  • HPKIカードの到着に2か月半かかる
  • 地域によっては、医療機関と薬局という処方箋の発行者と受手の片方しか運用開始していないため、患者利用に結びつかない

つまり、国としてはHPKI認証機関の体制の強化を図っている一方で、現場では病院と薬局が連携できていないために患者も利用に追い付いていない状況です。
そこで、対策として国は以下の3点を掲げています。

  • HPKIカードの発行体制の強化
  • 該当要件を満たす施設への早期発行の仕組み(HPKIファストトラック)
  • カードレス署名の推進

次にHPKIファストトラックの該当要件について詳しく解説いたします。

早期発行のHPKIファストトラックとは

HPKIカード発行の遅れが電子処方箋の普及拡大の障害にならないために、該当する対象者に対して2023年3月に申請受付を開始し、早期発行促進の仕組みを構築しました。
これがHPKIファストトラックです。
対象者は、以下のいずれも該当していることが条件になります。

  • 当該施設がシステム改修完了済であること
  • HPKIカードが到着次第、運用体制上も遅滞なく電子処方箋を運用開始する予定であること
  • HPKI申請から1ヶ月以上経過している者であって申請不備、費用支払等の連絡があった場合に遅滞なく対応していること

上記に該当する薬局は、HPKIファストトラック申請サイトに必要項目を記入することで、早期に管理薬剤師1枚を発行することができます。

電子処方箋の普及を進めていく今後のスケジュール

厚労省が電子処方箋の普及案として以下のスケジュールで推進していくことを発表しております。

■2023年9月以降(オンライン資格確認等システム経過措置終了後~)
システムベンダーの改修に余力が出るであろう時節を見計らい、全国での普及拡大を加速化する方針

  • 電子処方箋の機能拡充を図り、利便性の向上を図る
  •  普及導入加速化のための更なる方策検討

■2025年3月末まで
概ねすべての医療機関・薬局への導入を目指す方針

以上になります。
今回はHPKIカードの課題やスケジュールについてお伝えいたしました。
電子処方箋対応については、弊社でもセミナーや営業マンからの情報提供を全国の薬局様に実施しておりますので、
情報を集めている方はぜひお気軽にご連絡ください。

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