TOP コラム 市場展望 “ 選ぶ ”ことから始まるこれからの薬局経営

市場展望

  • 2025.10.24

“ 選ぶ ”ことから始まるこれからの薬局経営

“ 選ぶ ”ことから始まるこれからの薬局経営

薬局業界を取り巻く経営環境は、経営者の高齢化による承継問題や医療費抑制に向けた各種報酬改定、大手ドラッグストア企業参入による競争激化、さらにはオンライン服薬指導や電子処方箋などDX化の推進など、急激に変化しています。本コラムでは、このような環境下において、自社が地域での役割を果たしていくために、どのような選択肢が考えられるのかについて考察します。

プロダクトライフサイクル(以下PLC)で見る薬局業界

PLC」とは、製品や事業が市場に登場してから衰退するまでの一連の流れを示す考え方です。事業が「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」という段階を辿るという考え方で、各段階で経営判断が変わります。「導入期」では市場教育・先行投資、「成長期」ではシェア拡大・規模の経済、「成熟期」では効率化・差別化、「衰退期」では残存者利益・新市場開拓・撤退が主な経営判断と考えられております。


PLCで見る薬局業界はどうでしょうか。一店舗あたりの売上では、2018年の1.91億円がピークとなります。1990年代までの導入期では医薬分業の推進が開始し、処方箋調剤薬局が徐々に誕生した時期です。1991年~2010年の20年間ではさらに医薬分業率が上昇し、大手チェーンの台頭、処方元医療機関との門前立地拡大、処方箋枚数が急増するなどの成長を遂げました。2010年~2019年の約10年では成熟期を迎え、薬価改定が定期化し収益を圧迫、調剤基本料区分の細分化、ジェネリックの普及推進など競争過多となりました。現在考えられている衰退期においては、医薬分業は頭打ちとなり調材料費の伸びは鈍化、薬剤師の不足、後継者問題、各種加算の取得、認定薬局など様々な課題が取り上げられています。

調剤薬局の件数では、2001年から2024年まで微増しており、現在60,000店舗ほどあります。一方で調剤医療費は2015年から横ばいの状態が続いており、さらに医薬分業率も80%以上と頭打ちの状態です。こうした状況から調剤薬局の市場は、現在飽和状態になっていると考えられます。


<出典>
医療経済実態調査(医療機関等調査)(厚生労働省)

「衰退期」の要因は主に5つあり、薬局業界においても全ての要因に当てはまります。①人口減少や医療需要の地域格差による処方箋枚数の頭打ちなどの市場要因。②オンライン診療や電子処方箋の普及などの技術・競合要因。③診療所の近隣に乱立し差別化困難や処方元依存が大きいなどの産業構造要因。④報酬改定による基本料の減少や薬価改定に伴う薬価差益縮小などの政策要因。⑤薬剤師不足や偏在、医薬品の供給不安による負担などの内部経営要因。

今後の調剤薬局業界における戦略

衰退期における経営の選択肢として、①残存者利益の確保、②新市場の開拓、③早期撤退が考えられます。

他業界についても、それぞれ3つの衰退期戦略が実行されており、調剤薬局も同様に具体的な戦略が想定されます。残存者利益の確保では、加算取得による単価アップ、在宅確保による客数アップ、人員・在庫最適化によるコスト削減、M&Aによるドミナント強化。新市場の開拓では、在宅強化、他事業や店舗の買収、調剤外部委託、介護事業への展開。早期撤退は、各社大手のM&Aが取り上げられます。





まとめ

本コラムで見てきたとおり、様々なデータおよび衰退要因5つが薬局業界へ全て当てはまることから、調剤薬局はPLCにおける「衰退期」に突入していると考えられます。CBグループが提供しているサービス「企業診断」「価値算定」「人事領域診断」「市場調査」を通して自社や市場を知っていただき、まず“選ぶ”ことから薬局経営を始めていただきたいと思います。


CBコンサルティングでは薬局の経営支援を行っております。お困りごとや将来への不安がある方はこちらからお気軽にご相談ください。



【関連記事】
医療経済実態調査の読み解きと、調剤報酬改定に与える影響
⇒ 調剤薬局の市場動向について~2023年以降の薬局市場はどう変わっていくか~①
調剤薬局の市場動向について~2023年以降の薬局業界はどう変わっていくか~②

無料企業価値診断

CONTACTお問合せ

秘密厳守いたします。お気軽にご相談ください。
最新の薬局動向・薬局M&A相場などわかりやすくご説明させていただきます。

※ご相談はいずれも無料です